DOCTORビジネス健康術
一覧へ戻るワクチンには2つの目的があることを知っていますか?
インフルエンザ流行により失われる企業利益
前回の記事にも書きましたように、毎年12月から3月頃まではインフルエンザが流行します。
子どもの間では学級閉鎖が相次ぎ、同じように大人の世界では企業の部門閉鎖や工場ラインのストップという状況も珍しいことではありません。
ある研究の試算では、インフルエンザにより国家GDPの1~4%が失われているというデータもあります。
同様に考えると、インフルエンザによる企業への経済損失もそのような規模となる可能性もありますが、このリスクに対してあまり具体的に議論されていないのが現状です。
ワクチンは自分のためのみならず
実はワクチンの目的は大きく2つあります。
1つ目は当然ながら「接種した本人を病気から守る」ことです。
そして2つ目があまり知られていない(重要視されていない)のですが「組織や集団での流行を防ぐ」という極めて大切な目的があるのです。
どういうことかを簡単に解説しますと、仮に組織全員がワクチン接種をしていた場合、もしその中の誰か1人が偶発的にインフルエンザに罹ってしまっても、周囲の人達皆に感染防御がなされているので他の人に伝染らず、その人1人だけで感染が留まります。
一方で、仮に組織全員が誰もワクチン接種をしていなかった場合は、人の密集した職場では1人から始まったインフルエンザが極めて高確率でその周囲の人に感染し、さらに2次感染をおこしながら組織全体に広がっていくことになります。これが集団感染の仕組みです。 つまりワクチンを集団で接種することは、内部での連鎖感染を防ぎ、その組織自体を守るための最大の予防策となるわけです。
目指すは接種率70%
ではインフルエンザから組織を守るためには、組織内のどのくらいの人がワクチンを接種すればよいのでしょうか。
国や医療機関が推奨しているのは、接種率95%です(100人中、95人以上がワクチンを接種)。
この場合には、インフルエンザは未接種者の単発発生のみで収束し、集団感染が起こることはまずありません。
ワクチン接種率95%を達成できると、その企業からインフルエンザの脅威はなくなったと言っても良いでしょう。
リスクに対して真剣に取り組む企業は、ぜひともこの数字を達成して下さい。
現実的な目標としては、おおむね接種率70%以上を提示しています。これにより社内での流行は大方防げます。
費用を会社負担にする、業務時間内の接種を許可する、出張ワクチンを依頼するなどでワクチンを受けやすい環境を作り、なんとか従業員全体の3人に2人は接種することを目指しましょう。

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内藤 祥東京ビジネスクリニック院長 北里大学医学部卒(M.D.) 慶應義塾大学大学院経営管理研究科卒(MBA) 沖縄県立中部病院で救急医療をトレーニング 沖縄県立西表西部診療所で離島医療を実践 専門は総合診療


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