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一覧へ戻るキレる上司の心中とは? アンガーマネジメント入門②
今回も、特に「怒り」の対処方法であるアンガーマネジメントについて述べていきたいと思います。
「アンガーマネジメント」はプロテニスプレーヤーのフェデラー選手が活用していることで話題となった、怒りの感情をコントロールする心理的な手法です。
ストレスフルな人間関係に悩まされがちなビジネスの現場にも非常に応用が利きやすいテクニックです。
前回のコラムでは、怒りのピークタイムはわずか6秒間と言われており、その最悪の時間をやり過ごすテクニックとして「カウントバック」(カチンときたら、頭のなかで数を6秒数える)を説明しました。
今回もベーシックな方法として「ポジティブ・セルフトーク」という技法を紹介します。
ポジティブ・セルフトーク
怒りや不安に支配された時に、あらかじめ自分で決めておいた「ポジティブなメッセージ性のあるフレーズ」を心のなかで力強く唱える、というものです。
気持ちが折れそうになった時に自分を鼓舞することができるフレーズなら何でもよいのですが、筆者もよく利用している、オススメのフレーズをひとつ具体例として紹介します。
『逆に、面白い』
これは「夢をかなえるゾウ」の著者である作家の水野敬也氏の言葉ですが、「これはキツイと!」いう場面に追い込まれた時、心のなかでこう呟くだけで、気持ちをかなり前向きに持っていくことができます。
ポジティブ・モーメント
前述のポジティブ・セルフトークに似ていますが、陰性感情に支配されそうになった時、「過去の成功体験や自分の中での良いイメージ」というのを思い出す、という手法です。
これもあらかじめ心の中にセットしておくことが重要です。
成功したプレゼンテーションの高揚感、厳しい試練を乗り越えた達成感、自分が最高に調子のいい時の具体的なイメージを思い出し、気分を高め陰性感情の嵐をやり過ごします。
キレる上司にどう対応するか
ちょっとしたきっかけで「キレて」しまう人がいます。
自分の怒りはコントロールできても、ひたすら機嫌が悪い人や激しい怒りをぶつけてくる人には影響を受けやすく、心を乱されてしまいやすいものです。
そもそもストレスとは「予期不安」(予測がつかないこと)に紐付いています。何がきっかけでキレるかわからない人とおそるおそるやりとりをするのは非常にストレスフルです。
キレる人の心理状態とはどのようなものなのでしょうか。
精神科医の水島先生によれば、すぐにキレてしまう人というのは、非常に不安が強い人のことだと言います。
他者に対してのコントロール性が強く自分が決めた「このやり方」というのがあって、そこから少しでも逸脱それると不安になってしまう人です。
ですから、ポイントは、相手は「ムカつく人」ではなく「不安が強い、気の毒な人」だと認識を転換することです。
したがって、キレる人への対応のキーワードは「安心」です。
相手が何を不安に感じているのか、そのポイントを探り、安心させてあげるようなメッセージを伝えることが重要です。
2回にわたってアンガーマネジメントのベーシックな考え方をご紹介してきました。怒りは人間の基本感情なので完全に無くすことは出来ません。
しかし、「怒り」という感情が何かを前向きに進めることはほとんどありません。
自分の怒り、他人の怒りに振り回されず、なるべく心を穏やかに保ちながら安定したパフォーマンスを出していってほしいと思います。

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鈴木 裕介
ハイズ株式会社 事業戦略部長 日本内科学会認定内科医 2008年高知大学医学部卒業。一般内科診療やへき地医療に携わる傍ら、高知県庁内の地域医療支援機構にて広報や医師リクルート戦略、 医療者のメンタルヘルス支援などに従事。2015年より現職。


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