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一覧へ戻る怒りの炎を鎮めよ! アンガーマネジメント入門①
前回まで、陰性感情全般のコントロールを中心にお話してきました。
今回は特にビジネスパーソンなら多くの方が経験したことがある、陰性感情の「怒り」の対処方法について述べたいと思います。
アンガーマネジメント入門
皆さんは「アンガーマネジメント」という言葉をご存知でしょうか?
1970年代にアメリカで生まれた、怒りをコントロールする心理的手法です。
これは、ただ怒りを我慢するための方法というわけではなく、その感情と上手く付き合いながら心理的なダメージを減らすための技術のことです。
プロテニスプレイヤーのフェデラー選手がアンガーマネジメントを駆使して世界一に輝いたことで有名になりましたが、アスリート選手だけでなく、俳優、経営者、医師や弁護士などストレスが多い職業の方のパフォーマンスの安定化のためによく用いられています。
現代社会はビジネスパーソンもたくさんのストレスに囲まれていますので、この手法を知っておくと日常のビジネスシーンでも効果的です。
「怒り」の機能は?
そもそも、怒りという感情は我々に何を示してくれているのでしょうか。
精神科の水島広子医師によれば、怒りの感情が示すサインとは「本来あるべき状態からズレがあり、うまくいっていない」ことを表しています。
また、もうひとつのポイントとして、怒りは「あの人が腹立つ」などと相手に向けられている感情と思われがちですが、実は「自分が困っている」ことを表すサインでもあるのです。
したがって、もしあなたが「怒り」を感じたときには「つまり、私は困っているのだな」と翻訳すると、本質的な解決にぐっと近づきます。同様に他人で怒っている人を目にした場合、「困っているんだな」と翻訳すると怖さや理不尽さを緩和することが出来ます。
実際の対処方法「ディレイテクニック」
怒りのピークタイムは6秒間だと言われています。
「売り言葉に買い言葉」という言葉がありますが、まさに怒りの沸点に達そうとする「6秒間」に相手を攻撃せず、思考ができる程度に感情を鎮める必要があります。
そのための技術がこの「ディレイ(遅らせること)テクニック」です。
ベーシックな方法として「カウントバック」というものがあります。やり方はシンプルです。
「カチンときたら、頭のなかで数を6秒数える」。ピークの6秒間を数えることに集中させ意識を反らします。
コツとしては、指を曲げ伸ばしする、膝を叩くなど身体を使いながらカウントするとよいと言われています。
また、同時に深呼吸を加えるとさらに効果的です。鼻から息を吸い、少し止めてから数秒かけて口からゆっくりと吐き出します。目を閉じるのも効果的でしょう。
ビジネスシーンでもすぐに実践でき、かつ実感も得やすい方法です。
聖人君子でなく人間ですから怒りを覚えることもたまにあるでしょう。
ただ、怒りは自分も周囲も良い後味を残しません。アンガーマネジメントの技を身につけて、スムーズなビジネスライフを送りましょう。

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鈴木 裕介
ハイズ株式会社 事業戦略部長 日本内科学会認定内科医 2008年高知大学医学部卒業。一般内科診療やへき地医療に携わる傍ら、高知県庁内の地域医療支援機構にて広報や医師リクルート戦略、 医療者のメンタルヘルス支援などに従事。2015年より現職。


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