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一覧へ戻る職場のメンタルケア 実はNGなパターン
2015年12月から50名以上の事業所で、職場のメンタルヘルスチェックが義務付けられ、そろそろ実際に実践のフェーズに入ってきた方もいらっしゃるかもしれません。
上司にとって、部下のメンタル面も含めた安全配慮義務への重要性ますます高まっています。
そこで今回は、職場のメンタルケアにおいて聞かれることが多い誤解や間違った常識を指摘していきます。
1)部下が自分の心配事を率直に語ってくれると思ってはいけない
そもそも部下は自分の悩みや心身の不調を相談してくれないものだと認識しましょう。
それは上司であるあなた自身の面倒見の問題だけではないことが多いです。
一般的に、「相談したい」と思う人の特徴には
・頭ごなしに否定しない寛容な人
・問題の解決方法を知っていそうな人
・自分を「評価」しない人
などが挙げられます。
人は自分を「評価」する人にはなかなか自己開示をしたがりません。
なぜなら評価を下げるリスクを伴うからです。
ですから、元来「部下の評価者」としての側面を持った直属の上司のもとには、悩みやネガティブな情報は入ってきません。
重要なのは「ナナメの関係」 直属の上司や、ある意味ライバルとしての側面を持つ同僚よりも、たとえば、直属ではない隣の課の上司や、あまり利害の関わっていない先輩など、弱みを打ち明けても自分の仕事面での評価の低下に直接つながりにくい人は相談へのハードルが下がります。
ナイスな上司は、この「ナナメの関係」の重要性を周知してあげましょう。
2)ノミュニケーションがNGなケースもある
ちょっと元気の無い部下に「話聞くから今夜飲みに行こう!」もよくとられる対処法です。
それ自体がまずいわけではないのですが、いくつか危惧すべきケースがありますので気をつけて下さい。
例えば、抑うつ(ゆううつな気分)がかなり進行している場合、他人と外食に行く行為自体にかなりエネルギーを消耗しますし、そのお誘いをお断りするのにも相当なエネルギーを使います。
どちらにしても負担なのです。
また、果たして実際お酒の席でじっくりと「100%部下の話を聞くモード」になれる人がどれだけいるでしょうか?
支援者であるはずの上司にお酒が入ってしまうと、酷い時には「お前なんかまだましだぞ、俺の若いころなんかはなあ」などという明後日の方向の自慢話に花が咲くケースもしばしばあるようです。
さらに、実は本人の服薬治療が始まってしまっているにもかかわらず、上司はまったく気づいていないというケースも有ります。その場合に、お酒をすすめることは完全にNGとなります。(お薬の飲み合わせの問題)
当然部下との関係性にもよりますが、話を聞くならまずは相手にとって落ち着いた時間帯(ランチタイムや夕方の空き時間など)に30分〜40分など、ある程度まとまりがあってかつ負担にならない時間設定を提案するのがいいでしょう。
次回もひき続きこのテーマでお話させていただきます。

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鈴木 裕介
ハイズ株式会社 事業戦略部長 日本内科学会認定内科医 2008年高知大学医学部卒業。一般内科診療やへき地医療に携わる傍ら、高知県庁内の地域医療支援機構にて広報や医師リクルート戦略、 医療者のメンタルヘルス支援などに従事。2015年より現職。


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