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一覧へ戻る人を育てる心理術
人の悩みの9割が対人関係にまつわると言われています。上司や同僚、部下とのコミュニケーションや家族とのコミュニケーション、友人や趣味仲間との関係など人との関わり合いがわたしたちの心に大きな影響を与えるのです。
そして対人関係におけるトラブルがあった場合に人は関わりを持つのをやめる選択をするか、「相手を変えよう」としてしまうケースが少なくありません。しかし相手を変えようとすることで反発心を刺激し関係がより悪くなってしまう結果になることも。
まずは自分の言動や伝え方を変えてみることで自身と人を共に育てていくという意識を持ちましょう。
ラベリング理論
人はラベリングされると(レッテルを貼られると)、そのラベリングをもとにアイデンティティと行動パターンを形成するようになることをラベリング理論といいます。「あなたって〇〇だよね」と何度も言われて育つと〇〇という言葉に近づくような行動するようになるのです。そのため自分にも人にもマイナスのラベルを貼らずに、できる限りプラスのラベルを貼っていくことをお勧めします。しかしあまりにもかけ離れたラベルを貼ろうとしてしまうとコントロール性が出てしまい相手の警戒心を刺激してしまうので気をつけましょう。
たとえば仕事が遅い人に対して「あなたは仕事が早いですね」と伝えることは信頼を失いかねませんので「あなたは仕事がとても丁寧で、『最近は』仕事のスピードも上がってきましたね」と成長過程を褒めるような伝え方が有効です。また日本には謙虚であることや謙遜することが良しとされる文化があるため、自分の部下や子供を第三者に紹介するときに「うちの〇〇、できが悪いんですけどよろしくお願いしますね」や「うちの子人見知りでお喋りが下手なんです」などとマイナスの言葉で紹介してしまうケースが多く見られますが可能な限りプラスの言葉で表現する意識が重要ですね。
言葉の選択の重要性
①潜在意識は否定形を認識できない
「廊下を走るのをやめましょう」と伝えられても脳には「廊下を走る」光景が浮かんでしまいます。「廊下を歩きましょう」と否定形ではない言葉で伝えることが大切です。
②潜在意識は主語を区別しない
潜在意識は主語区別しないため、人を否定したり、マイナスに判断したり、悪口を言うことを「自分のこと」と捉えてしまいます。そのため第三者のことをネガティブな言葉で表現すると相手もなんとなくマイナスな気持ちになってしまうのです。反対に常に人のことを褒めている人の周りには良い空気が流れていますよね。信頼度も増します。たとえ相手の話しでなくとも誰かを批判するような言い方はしないよう気をつけましょう。
質問は相手へのプレゼント
質問をすることで相手の思考の幅や視野を広げることができます。
部下に対して「優先順位が違うから、これを先にしてください」とのみ伝えると、その部下が仕事を処理するタイプであった場合には何故その仕事を優先すべきか考えずにまた同じミスを繰り返すリスクが高まります。また「〇〇の理由でこちらの仕事を優先してください」と伝えるのは悪くはないのですが、相手が考えることをしないため記憶に残りづらく、なることが懸念されます。「こちらを優先してもらえると助かるのですが、どうしてか分かりますか?」「どうして先にそちらの仕事を優先しているのですか?」と質問をすることで相手にきちんと考えさせて、その上で指示を出すことで納得してもらうことができます。質問するときは問い詰めている印象にならないように、やわらかい表情で優しく話すよう心がけることが大切です。
人を育てることに一生懸命になりすぎて「〇〇すべき」といった考えに固執し相手の現状に目が向いていない人がいます。まずは自身の伝え方やコミュニケーションを取り方を見直し互いの関係性が良くなる指導の仕方を身につけていきましょう。