DOCTORビジネス健康術
一覧へ戻るビジネス交渉でも健康管理でもツメは大切です
「神は細部に宿る」と言いますように、ビジネスでも細部のツメが甘いと上手くいかないことがあります。
末梢末端にまで気配りすることがプロフェッショナルの証でしょう。これは体にも当てはまります。
体の末梢末端と言えば、「ツメ」(爪)です。爪には体調管理の不具合が意外と出てくるものなのです。
特に女性は、爪におしゃれをすることも多いので、爪をよく見る習慣がついているかもしれません。
これを機会に、爪を見て健康管理までしてしまいましょう!
爪の基礎知識
そもそも爪がある目的はなんでしょうか?
これは、指を保護し、指の力の入れ加減を調節するためと言われています。
爪があることで我々は物を上手に掴め、足も踏ん張ることが出来るのです。爪は固いものです。
体の中で固いものと言えば、骨や歯。爪は骨や歯と同じ成分で出来ているのでしょうか?答えはNoです。
爪は皮膚の一部で、肌や髪の毛と同じケラチンというタンパク質でできているので、骨や歯とはまったく異なるものなのです。
そして、私たちは定期的に爪を切ります。
先の白いところが伸びているように思いますが、実は根元から伸びているのです。
爪表面に傷がある場合それを観察していると徐々に先へ移動していくのがわかります。
その伸びるスピードは、個人差はあるものの、1日に約0.1mm、1か月3mm程度です。
爪から分かる健康状態
健康な爪は、毛細血管の色が透けて見えるため、全体に薄いピンク色です。
「爪の色が白いなあ」、「爪の伸びが遅いなあ」、と感じると貧血や栄養不良により末端にまで十分に栄養が運ばれていない可能性もありますので注意して下さい。
また、爪が白色や褐色に濁り分厚くなってきたら、爪白癬かもしれません。
これは爪の水虫のことで、水虫(足白癬)を長期間放っておいたため皮膚から爪の中へと白癬菌が侵入したことによるものと考えられます。
なかなか治りにくい病気と言われていますので、爪の異変に気付いたら早めに皮膚科に行きましょう。
そして、爪の中央が盛り上がり、指の先端を包み込むような伸び方をしている場合は要注意です。
これは、「ばち指」と言われるもので、爪床のすぐ下にある軟らかい組織が盛り上がった時にみられます。
肺気腫、慢性気管支炎、あるいは肺ガンなどが隠れている可能性があると言われています。
爪を見ると、自分の体の状態がある程度分かります。
爪を見ることは、手軽にできる健康チェックなのです。
爪は皮膚の一部ですので、健康で丈夫な爪を作るためには、バランスのとれた食事と休息が大切です。
疲れがたまっていると、爪の色や伸び、分厚さなどの変化が出てきます。
爪は健康をうつす鏡なのです。「能ある鷹は爪を隠す」と言いますが、爪にはたくさんの健康情報が詰まっています。
これからはぜひ「能あるビジネスパーソンは爪を見る」を目指しましょう!
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裵 英洙 (はい えいしゅ)
外科医、病理専門医として勤務医時代を過ごした後、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)で医療経営・ヘルスケアビジネスを学ぶ。在学中に、医療コンサルティング会社を設立。現在も臨床業務をこなしながら、医療機関経営コンサルティング・ヘルスケア企業アドバイザリー・ヘルスケア系ベンチャー支援業務などを行っている。『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』(ダイヤモンド社)など著書多数。