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2017.06.08健康術

医師が教える海外出張のポイント!シンガポール編

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建国から50年でアジア有数の経済発展をとげてきたシンガポール。

ビジネスパーソンのみなさんは、シンガポールにどのようなイメージをお持ちでしょうか?

アジア諸国の中で、治安も衛生面でも安心できる国であり、出張先としても人気の高いようです。

しかし、そんなシンガポールにも日本では馴染みのない特有の健康リスクがあります。

今回は、ビジネスパーソンがシンガポール出張の際に押さえておくべき2つの健康リスクとその対策をお伝えします。


大気汚染の指標「PSI」の確認を

1つ目の健康リスクは「ヘイズ(Haze)」です。

ヘイズとは、PM2.5などの微小粒子やSO2などの有害物質を含む煙のことです。

この煙が目やのどなど身体に悪い影響を起こします。

特に、5月から10月頃までが発生しやすい時期です。

インドネシアなどで熱帯雨林の野焼きにより発生した煙が風に乗って、シンガポールなど近隣諸国に渡ることで健康被害が生じていると言われています。


ヘイズによる症状には、咳や痰などの呼吸器症状をはじめ、眼の充血や鼻づまり、のどがイガイガするなどの症状があります。

また、気管支喘息の喘息発作が誘発されたり、アトピー性皮膚炎の皮膚症状が悪化したりすることもあります。

さらに、心臓や呼吸器系に持病がある方では、呼吸不全や心不全、心筋梗塞などを引き起こし命にかかわる場合もあります。


シンガポール出張の際のヘイズ対策として、まず、大気汚染の指標である「PSI(Pollutant Standards Index;大気汚染指数)」を確認しましょう。

PSIはシンガポール環境庁が公表しており、1時間毎の数値をホームページで確認できます。

PSIの目安としては、101以上は「からだによくない」、201以上は「心臓や呼吸器系に持病がある人は危険」、301以上は「健康な人でも危険」と3段階で判断するのをお勧めしています。


PSIが高いときは屋外での活動を最小限にしましょう。




蚊に刺されて感染する「デング熱」

もう1つの健康リスクは「デング熱(Dengue)」です。
デング熱は蚊に刺されることで感染する病気です。
近年、熱帯地域ではデング熱の発生数が急増しており、先進国であるシンガポールへの出張の際も注意が必要です。
デング熱の3大症状は、発熱・からだの痛み・皮疹(皮膚のぶつぶつや赤み)です。
蚊に刺された後、平均5日間の潜伏期間を経て発症します。
ほとんどの場合、自然に回復しますが、一部の患者では「デング出血熱」という命に関わる状態となる可能性があるため、油断できない病気です。

デング熱には特効薬もワクチンもないため、まずは蚊に刺されないようにすることが大切です。
具体的には、屋外では長袖を着る、サンダルをはかない、虫よけスプレーを塗るなど、日常生活での守り事がメインです。
また、一部の解熱鎮痛薬(イブプロフェンやジクロフェナクなどのNSAID系)は出血熱のリスクを上げるとされ、デング熱に際には使用を避けるべきです。

海外出張中に聞いたことがない病気を耳にすると、不安になってしまい、ビジネスにも影響を与えかねません。
備えあれば憂いなし。海外出張の前に現地の健康情報を確認し、自分の身は自分で守る意識を持つことが、リスクマネジメントの一つになります。


AUTHOR
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岩本 修一

ハイズ株式会社 人材育成戦略部長
内科医(総合診療医)
Certificate in Travel Health®(国際旅行医学会認定資格)
2008年広島大学医学部医学科卒業。内科医として内科診療や渡航外来、医学教育に従事。医療職に対してコミュニケーション学やEBM、プレゼンテーションの教育に携わる。2016年より現職。

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