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2015.11.19コラム

最先端の「リゾート滞在型がん治療」とは

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がんは治療法の進歩により、早期発見によって“治る”時代になりました。だからこそ、その後の生活も考えた治療を選択したいものです。手術の場合、その後の生活に影響が及ぶ“後遺症”が残る場合があり、乳がんなどの場合は見た目の変化にショックを受ける人も少なくありません。



一方、放射線治療は切らずに済むことが最大のメリット。なかでも、他の部位に影響が及ぶことなく、がんを治療できる陽子線治療という画期的な治療法が注目されています。

最先端の陽子線治療をリゾート地に滞在しながら受けられるのが鹿児島県指宿市にある「メディポリス指宿」。都会の喧騒を離れ、治療以外の時間は温泉につかったり、森を散策したりと自由な時間を過ごすことができます。リゾート滞在型がん治療が、これからのがん治療のトレンドになるのではないでしょうか。



がんが“治る”時代だからこそ治療法の選択が重要

がんは、近年の目覚ましい医療技術の進歩によって早期発見が可能となり、治療成績も向上。今やがんは、“治ればよい”時代から、“生活の質(QOL)を維持する”ことを重視し、患者自身が治療法を選ぶ時代になっています。 


がんの代表的な治療法は、①手術、②抗がん剤治療、③放射線治療の3つです。手術は他の臓器への転移などがなければ克服できる可能性が高い治療法ですが、身体にメスを入れることより、例えば前立腺がんでは尿漏れが起こる、喉頭がんでは声を喪失するなど、その後の生活に大きな支障をきたすリスクも抱えています。一方、抗がん剤は全身に作用するため小さな転移にも効果がありますが、つらい副作用を伴う場合もありますし、がんの種類によってはあまり大きな効果が期待できないこともあります。


このような中、注目されているのが放射線治療です。放射線治療は、切らずに治療できるのが最大のメリットで、特に身体の各種機能を温存したいと考える人には有効な選択肢だと言えるでしょう。しかし、通常の放射線治療で用いられる「光子線」(X線やガンマ線)は、体内を貫通する性質があるため、がんの周辺にある正常な臓器にも影響を及ぼすことがあります。そこで、より身体への負担が少ない治療法として期待されているのが、光子線とは異なる性質を持つ放射線「粒子線」を用いる治療法であり、中でも注目なのは今回紹介する陽子線治療です。


新しい放射線治療「陽子線治療」とは?

従来の放射線治療で使われてきた光子線(X線やガンマ線)は電磁波ですが、粒子線は水素の原子核、あるいは炭素の原子核を使って生成されるもので、放射線の中でも質量を持った粒子であることが大きな違いです。現在、がん治療に用いられている粒子線には、陽子線と炭素イオン線(重粒子線)の主に2種類があります。両者の特性は基本的には同等ですが、装置の開発状況には差があり、現状では多方向から照射できる装置(回転ガントリー)を使って治療できる陽子線の方が、より丁寧な治療設計ができると言えます。




陽子線は、体内に入り一定の深さに達した時に最大のエネルギーを放出し、その後急速にエネルギーを失う性質があります。つまり、がんの形状に合わせてエネルギーを放出するように設定すれば、がんの後ろ側にある正常な組織に影響を与えず、がんだけを集中的に治療することが可能であるため、副作用のリスクが大幅に軽減できます。



陽子線は、水素ガスから陽子を取り出し、光速の最大約60%のスピードに加速して初めて治療に利用できる状態になるため、その生成や制御に巨大な装置を必要とするため、全国でも10か所しか施設がありません。また、より効果的な治療を行うためには、患者によってそれぞれ異なるがんの形状を把握し、照射する範囲やエネルギー量を細かく設定、調整する必要があり、装置を操作するスタッフには熟練した技術が求められます。


「メディポリス国際陽子線治療センター」だからできるがん治療

メディポリス国際陽子線治療センターは、2011年に治療を開始し、これまでに培った知識、経験、技量をもとに、患者一人ひとりに最適なオーダーメイド医療として陽子線によるがん治療を行っています。陽子線治療の第一人者である菱川良夫医師(兵庫県立粒子線医療センター初代院長)がセンター長を務める同施設では、放射線治療専門医とスタッフが、日々、より良い治療の提供を目指して、研究、実践を重ねています。


同センターでは、手術不能とされた難治性の膵がんや高齢患者に対しても、効果が期待できる限り、他の治療法との併用などあらゆる可能性を患者とともに考え、選択肢が提示されます。また、これまで固定の難しさから陽子線治療は困難とされてきた乳がん治療の実現を目指し、独自に乳房固定具や治療技術の開発に取り組んできました。現在、早期乳がんの陽子線治療提供に向け臨床試験が進行しています。



 

菱川センター長が目指すのは「幸せな医療」の提供。身体にやさしい同センターの陽子線治療は、決められたスケジュール通りに、日常生活を続けながら通院で受けられる治療です。但し、入院加療が必要と判断される患者さんのために病棟が準備されています。さらに小さな子供連れの母親でも安心して治療に臨めるように、敷地内に保育園を開設し、一時保育のサービスも行われています。


2013年、同センターは陽子線治療施設としては世界で初めて、「医療の質の向上と患者の安全」を評価する国際的な第三者機関であるJCIの認定を取得しました。メディポリス国際陽子線治療センターでは、安全かつ高品質の医療サービス、そして身体にもこころにもやさしい療養環境づくりが追及されています。


リゾート滞在型がん治療施設だからできること

がんは、ストレスなどが原因の一つとされている病気です。がんを患ったことをきっかけに、それまでの生活習慣や仕事との関わり方を見つめ直す人は少なくありません。リゾート地でゆっくりと今後のことを考え、心も身体もリラックスしながら過ごすことは、治療中の患者に大きなプラスになるものと期待されます。



陽子線治療は、手術のように身体を傷つけることもなく、かつ副作用も少なく抑えられることから、1日約20分の治療時間以外は、日常と変わらない生活を自由に送ることができます。 「陽子線治療」と「リゾート地での保養」の融合を実現したのが、鹿児島県指宿市にある「メディポリス国際陽子線治療センター」。隣接する「指宿ベイテラスHOTEL&SPA」で温泉や余暇の時間を楽しみつつ、最先端のがん治療を受けるために、国内外の多くの人々が同センターを訪れています。