DOCTORビジネス健康術
一覧へ戻るその頭痛で仕事のスピード、落ちていませんか?
日本で頭痛に悩まされている人は、国民の4人に1人の約3,000万人いると言われています。
もはや国民病と言っても過言ではありません。ビジネスパーソンにとっても頭痛は大敵です。
頭がズキズキして、時には吐き気が出たり、目の奥が痛くなったり。こうなると仕事どころではなくなります。
私の外来に来るビジネスパーソンも頭痛の悩みをお持ちの方が多く、その方々の仕事風景を問診すると、毎日長時間座位のままパソコンに向かってキーボードを打つ姿勢を保っているのが特徴です。
つまり、肘・肩・首の動きが一定となり、仕事中ずっと筋肉が緊張したままなのです。さらに、パソコン画面を凝視し続けているので眼精疲労も重なっています。そのような方に多いのが「筋緊張性頭痛」です。
デスクワーカーに多い頭痛
この筋緊張性頭痛は、頭全体が締め付けられるようなにぶい痛みが特徴です。
我慢できないほどではないことも多いので、仕事は何とか続けられます。
ただ、頭痛を持ちながらの仕事はなかなかパフォーマンスが上がりません。
パフォーマンスが上がらないので、時間をかけてパソコンに向かわざるを得ず、さらに首や肩に負担が増えていく悪循環に陥りがちです。
この筋緊張型頭痛は、首や肩の筋肉の過度な緊張が原因の一つと言われています。
無理な姿勢の維持や長時間のパソコンの使用などによって頭から首・肩にかけての筋肉が緊張し血流が悪くなります。
そうなると疲労物質が筋肉にたまり、首や肩の筋肉とつながる頭の筋肉も過剰に収縮し、頭痛が起こりやすくなるのです。
実は、人間の頭の重さは4kg以上と言われており、首の上にスイカ一個くらいが乗っかっている感じです。
首が細い人や首や肩の筋肉が少ない人は4kgを支えるためにより筋肉が緊張し、頭痛が起きやすい可能性があります。
男性に比べ筋肉量の少ない女性で首が細い方は特に要注意です。
疲れる前に休む
筋肉が緊張する症状が悪化していくと、たまに発症していた頭痛が、頻回に出現するようになり、慢性的な頭痛へと発展していく恐れもあります。
毎日毎日デスクに向かって頭痛と戦うとなると仕事にも集中出来なくなってしまいます。
したがって、悪化を予防する心がけが大切になります。筋緊張性頭痛を防止する際に大切なことは、何といっても“疲れる前に休む”です。
筋肉は緊張が続いた状態で使い過ぎると間違いなく疲れます。
血液が停滞する状態で固まる前に、意識的に筋肉を弛緩させるようにしましょう。
具体的には、50分ほどパソコンをしたら数分休む、と言ったルールを作ります。
その休憩時には、肩や首のストレッチをしたり、わざと席から離れる作業や行動(例えば、コピーを取る、トイレに行く、など)を入れて、筋肉を意識的に動かす時間をつくりましょう。
ここでのコツは、疲れの実感がなくてもパフォーマンスを下げないために予防的に備えることなのです。
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裵 英洙 (はい えいしゅ)
外科医、病理専門医として勤務医時代を過ごした後、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)で医療経営・ヘルスケアビジネスを学ぶ。在学中に、医療コンサルティング会社を設立。現在も臨床業務をこなしながら、医療機関経営コンサルティング・ヘルスケア企業アドバイザリー・ヘルスケア系ベンチャー支援業務などを行っている。『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』(ダイヤモンド社)など著書多数。